2000/05/22UP

番外篇
ワークショップ
昔話その3

専科設立への経緯

1999年4月にワークショップ(現在の予科)を終えた人を中心に8人でHSKT研究科を設立した。ワンシーンを稽古して、撮影編集するという形で週一回5時間活動。7月に入った頃、ショートフィルムの製作案がメンバーの一人から出た。「ショートフィルムでの映画祭出品。企画を公募して、キャスト・スタッフはワークショップで育成する。製作資金はスポンサーをつける」という案だった。身近な目標がないと動けない人のためには、ショートフィルムの製作もよいだろうと思い、私は一応賛同した。

映画祭と言っても、ショートフィルムはショートフィルムの映画祭にしか出品は出来ない。名のある映画祭は35mmで60分以上の作品に限られている。この案の問題点は、発案者が製作資金を出してくれるスポンサーを簡単に付けられると思っていることにあった。すでにスポンサーがついていればいいのだが、ついているわけではない。大々的に宣伝をして人を集めて、「スポンサーがつかなかったので出来ません」なんてことになったら、詐欺になってしまう。確実に作れるバックボーンを持たなければいけない。それに養成の件では、ワークショップで教えるのを私のみにやらせる気でいる。と言っても、その時点で教えることが出来る人は私以外に二人しかいないというのが私の判断だったし、現実問題として、私以外に無償で養成の為に時間を割くことが出来る人はいないだろうと思っていた。。

そこで、私は考えた。

過去にワークショップの内容をちゃんと身につけた人は、自由参加であっても自ら進んで全出席していた人だけだったことから、強制参加のワークショップをやる必要がある。今までのようなボランティア的なやり方ではなく、月謝制にして利益を上げて、そこからショートフィルムの製作資金を出そう。また、養成に関しても、研究科メンバーの不公平をなくすために講師には報酬を出すことにしよう。そうすれば、将来的に養成に割いた時間差による権限の差が生じることを回避出来る。教えることは自らの勉強にもなるし、収入が得られるとなれば養成に関わるというメンバーも出てくるだろう・・・と。

しかし・・・賛同者は一人だけ・・・笑った。
反対の理由の一つに「そんな形で集めた金で映画なんか撮りたくない」というのがあった。
ガキじゃないんだから・・・と私は思った。(言わなかったけど・・・)
もし、私が「さっき銀行強盗してきたこの金で映画作ろう」って言ったのなら、それも分からないではないが、ワークショップは立派な経済活動になりうるし、犯罪ではない。それに、ただ金のためにやっているわけではなく、本気で育てようと思ってやっている。
大体、自分が手にしてる一万円札が自分のところに来る前にどういう経路を通ってきたのか、いつも気にしてる人なんていやしない。

結局、本気で映画を作りたいわけじゃないんだと思った。「作れたらいいな」くらいにしか考えていないのだ。そして、「この人たちは皆、他力本願なんだ」ということが分かった。「誰かがなんとかしてくれる」とどこかで思っているのだと・・・。自分がやりたいことのために自分から動こうとはしない。やりたいことをやるためにはやりたくない面倒な細かいこともついてくる。それを嫌がっていては何も先に進まない。

幸いにも、研究科は私が主催していたわけではなくワークショップとは独立させていた。そのため、ショートフィルム製作計画も月謝制ワークショップの導入も、初めは研究科の運営という形にするはずだったが、キヨセ企画の事業として引き受けて、研究科とは一線を引くことにした。そして、私はワークショップ専科の準備に取り掛かった。

1999年10月、「ワークショップ専科」を開設。
それと同時にそれまでの「ワークショップ」を「ワークショップ予科」と改称し、受講料も1コマ1,000円に変更した。今までの倍ではあるが、一般的な他のワークショップや養成所の半額以下である。

専科生はここのところずいぶん実力をつけてきた。変化がよく見受けられるようになった。真剣に取り組んでいる証拠だ。やはり、「継続は力なり」だ。予科生は壁にぶつかると来なくなってしまう。その点、強制参加(月謝制の為「来ないと損」という意識が働く)の専科生は一時期壁にぶつかって停滞しても、もがいてもがいて、何かを掴もうとしている。そして、道が開ける。これが本来の成長の姿だと思う。

やはり、予科は2000年8月いっぱいで終了する。数ヶ月に一回の割合で体験的なワークショップをやるかもしれないが・・・(笑)

専科が起動した1999年10月、私は研究科を抜けた。その後も研究科は続いていたが、私に賛同していたカメラマンの小林さんが抜けてまもなく、どうやら解散したようだ。研究科で得た経験は反面教師として今後の人材育成に役立つであろう。

さあ、すべてはこれからだ!!

0.戻る