2000/09/01UP
映画「ホワイトアウト」について
先週の日曜日に結構期待して観に行ったのだが、いい出来とは言い難かった。
やりたいことを詰め込みすぎていて、すっきりしない。映画には「映画の嘘」は付き物なのだが、あのヘリコプターを墜落させる為だけの雪崩には閉口してしまった。あまりにリアリティがなさ過ぎる。雪崩にあったというのにヘリコプターも主人公も雪に埋もれていない・・・。「ミッションインポッシブル2」のバイクシーンの方がまだましだった。(笑)
主人公が死んだ親友の恋人に伝えたかったこともはっきりしない。親友から預かった方位磁針を渡したかったのか、回想シーンで親友に「俺が死んだら、彼女を助けてくれ」と言う言葉を守ったことなのか・・・このどちらも伝えたいことではない。製作者側は「彼女を守る」ことと「方位磁針を渡すこと」が彼の行動の原因だと言いたいのだろうが、すっと心にそれが入ってこないもどかしさがある。そして、警察署長が最後にヒロインに言った主人公の伝言は、「主人公が親友を見捨てて逃げたわけじゃない」ということを伝える役目を果たしていたが、これが変に絡んでしまって、もどかしさを増したのかもしれない。後からよく考えれば理解できるのだが、観ている時に心に入り込んでこなければ映画である意味がない。
もうひとつ、分かりづらいのはテロリストの犯罪計画。説明不足で、署長が解明した時に署長と同化して納得できなかった。「画面との対話」がきれいに成立していない。設定を知っている製作者だからこそ陥る「麻痺」のせいだろう。初めて観た客の立場に立った見方が出来なかったようだ。残念。
友人が死んだ原因になった人物がテロリストのメンバーだったということも余分だった。あんなのは無い方がよかった。
心に来たシーンは3シーンのみだった。主人公が署長と電話で話すシーンと、救出されたヒロインに署長が主人公のことを伝えるシーンと、最後のヒロインが方位磁針に気づいて主人公の手を開こうとすると無意識に主人公が方位磁針を握りしめるシーン。芝居のあってうまくいっているシーンが少なすぎだ。
いろいろ良くないことを書き連ねたが、署長役の中村嘉葎雄さんはとても良かった。彼に救われた作品かもしれない。