2000/05/13UP
対話
客は画面と対話している。
というより、作る側が画面と客の間に対話を生じさせなければいけない。
もし、対話を生じさせることが全く出来ないものを作ってしまったら、
とてもつまらないものになる。客にストーリーは伝わるかもしれないが、
客がその世界に入り込んで感動したりすることはない。
具体的に書くことにする。
画面:Aが歩いている。何かに気付いた表情をする。
客:「おっ、何かに気付いたな。何に気付いたんだろう?」
画面:人相の悪い黒づくめの男二人が人を探しているように小走り。
客:「こいつら、悪い奴なのかな?もしかして、Aは追われてる?」
画面:A、顔が引きつり、キョロキョロしだす。
客:「やっぱりそうだ。きっと追われてる。どこかに隠れるのか?」
画面:A、何か見つけた表情。
客:「おっ、隠れ場所見つけたか?」
画面:A、表情が曇る。
客:「ん?」
画面:電信柱
客:「ヾ(--;)ぉぃぉぃ、それじゃ見つかるかもしれないぞ」
画面:A、男たちの方を見て、電信柱を見て、決心する。電信柱を背に隠れる。
客:「あ、決めちゃったよ、大丈夫か?」
画面:Aの顔アップ。緊張感がどんどん高まる。
客:つられて緊張してくる。
画面:(off)男たちの足音と声「見つけたらただじゃおかないぞ」息を飲むA。
客:「見つかるな〜〜やばいぞ〜〜」
画面:(off)男たちの足音遠ざかっていく。A、まだ緊張感が残ってる。
客:「行き過ぎたか?」
画面:A、恐る恐る電信柱から確認。Aから見たカットで男たちが路地を曲がって消える。A、息をつく。
客:「ホッ。ところでお前いったい何したんだ?」
と言った感じに客は画面と対話している。
これの細かい積み重ねが、客を映画の世界に引きずりこみ、
登場人物たちに感情移入させていくのである。
演出はこの対話をきちんと、しかも、自然に客にさせる必要がある。
俳優の演技が的を得ているのかを判断し、ダメ出しをして、修正していく。
監督の撮影現場でやる主な仕事はこれである。
監督は演技は出来なくても良いが、演技というものが分かっていないといけない。監督の仕事がカット割をすることだと思っている人が実に多い。
本来、カット割は撮影監督の仕事である。このことについて次回書こうか・・・。