2000/05/15UP
監督の仕事
簡単に言うと、
映画監督は作品の製作にすべての責任を持つ人。
撮影監督(カメラマンのトップ)は画に関してすべての責任を持つ人。
映画監督は現場に入る前は各スタッフに自分の描いているイメージを伝え、スタッフの出してきたものを検討してつめていく。
実際の撮影現場での映画監督の主な仕事は芝居を演出する(演技指導)ことである。日本の映画監督は自分自身でカット割をする人が多いが、カット割は本来、撮影監督の仕事である。そこを勘違いしている監督志望者が異常に多い。
勘違いして欲しくないのは、映画監督がカット割をしてはいけないと言っているわけではないということある。カット割をしてもいいけど、本来の仕事を忘れて欲しくないと言っているのだ。時々、TVドラマのテロップで「ディレクター」と「演技指導」(もしくは「演出」)と二つの役職が出てくることがあるが変な話である。「ディレクター」はスイッチャーのオペレーターと化しているようだ。(笑)
昔、自主映画の監督にワンシーンだけ演出を頼まれたことがある。全く台詞のない長いシーンで、役者がどうしてもうまく出来ないから演技指導してくれと言うものだった。「ヾ(--;)ぉぃぉぃ、それはあんたの仕事でしょ」と言いたかったが、面白そうだったので引き受けた。彼は画に異常なこだわりを持っていて、その作品は画が綺麗で構図もよい。しかし、演出はいい加減。ラッシュを見せてもらった時にOKカットがなぜOKなのか私には分からず、その理由を聞いてみると「タバコの煙の流れ方がこれが一番構図的にいいから」と言われた。完全にカメラマンになってしまっている。演技的には他のカットのほうがまだましだったのに「煙の出方だけでそれを選ぶなんて・・・」と思った。
彼は映画監督にこだわっているが、そんなに画にこだわりがあって、いい画が撮れるのであれば、撮影監督になった方がいいのでは?と今でも私は思っている。もったいない・・・。
要するに、映画監督になりたいのであれば、芝居と言うものが分かるようになって欲しいと言うことが言いたい。方法はいくらでもある。観るだけで勉強できる人もいる。それは、観て吸収することが出来る観点を持っている人に限られるようだ。観点がなければいくら観ても変わらない。
今、ワークショップでは、監督志望者にも脚本志望者にも演技をさせている。
その方が演技を理解するのも、観る観点を身に付けるのも早いと思うからである。ワークショップのテキストの課題は、必要な観点が一通り身につくように構成している。しかも、誰もが出来るようになる程度の簡単なものにしてある。過去に監督志望者でも、真剣にやってた人は怠けてる俳優志望者よりもずっと演技が出来るようになってしまった。そんな程度のものである。
最低ラインのところで逃げてしまうなら、「監督志望です」などと言って欲しくない。なりたいとだけ思っている人は星の数ほどいる。本当になりたいと思うのであれば、絶対に必要なことをまず真剣に身につける努力をして欲しい。
当然、これは俳優志望者にも言えることだ。
今日は少し辛口でした。(笑)